「最期まで自宅」を貫くための3つの習慣
最期まで自宅で暮したいと願う人は多い。でも自宅で死ぬのはわずか10%という現実があります。願うだけでは難しいのです。
本当にそうしたいなら覚悟するだけではなく、それ相応の準備が必要です。
つまり、自分が老いていく姿を見越し、自宅暮らしを貫くに足る心身の状態に、何としても踏みとどまるという覚悟がひとつ。そのうえで、最晩年の暮らしを支えるための準備をするのです。私が考える、覚悟の仕方、準備の方法、について解説します。
■自分の老化を見越して「覚悟」する
最期まで自宅で暮すには、老化の進行が自分の暮らしにどう影響するのかを見越すことが第一歩となります。老化の進行と暮らしへの影響を大雑把に3段階に分けて整理してみます。年齢はあくまでもひとつの目安として挙げています。個人差も諸説もあり、これが絶対ではありませんが、早い遅いはあっても、誰もがたどる道です。
老化第一段階(65~74歳) 老化は始まっているが、多くの人が健康寿命を保っており、日常生活に支障はない。この段階になるべく長く留まることが大切。
老化第二段階(75~84歳) 身体機能の低下が一段とすすみ、できないことが増える。自宅で暮せはするものの、生活は縮小する。老化の進行を見越すと、自宅で暮すことを切望 するのであれば身体機能の衰えを、何としてでも老化第二段階のレベルにとどめる覚悟が必要だ。またこの段階に入ると、伴侶、友人といった親しい 人の死が、生きる気力を消失させ、老化の速度を格段に早める、ということも見越しておくことが大事。
老化第三段階(85歳~) 介助を得なければ、自宅での生活は難しくなる。生きるために最低限必要な食事、排泄、入浴中心の生活になる。老いた自分自身を受け入れられず、自 己喪失による認知症も増える。症状によっては自宅で暮せなくなることも。
この段階では、多くの場合一人暮らしは断念ということになる。ここまでくると、一人では自宅で死ねない。人の助けが必要だ。
■3つの習慣で「準備する」
老化二段階で踏みとどまるためには、老化の進行を見越したうえで、逆算して今からやるべきことを組み立てることが重要です。
それは「家事」「人付き合い」「運動」の3つの習慣です。
「家事」ができなくなれば、日々の暮らしは成り立たなくなります。
「人付き合い」を失うと、生きる張りをなくし、生活は硬直化し、やがて破綻することもあります。
「運動」により足腰の衰えを食い止めなければ、家事も人付き合いもできなくなります。
「家事」「人付き合い」「運動」はこのように、繋がっており、どれか一つが欠けてはだめ、三位一体での習慣形成が鉄則です。
また、老化を遅らせるための3つの習慣は、若い時から惰性で続けてきたそれとは、異なります。
老いを生き延びるためには、これまでのやり方を仕切り直し、新たな習慣形成が必要なのです。
3つの習慣の具体的な実践方法については、次回以降のコラムで解説します。
(2017年12月29日)