「人付き合いの習慣」で生きる張りを保つ
人はひとりでは生きられない。人との関わりが生活の張り、生きがいの源泉となる。老化が進むにつれ、老化第一段階の退職で仕事関係の付き合いがなくなる。老化第二段階に入り遠出外出ができなくなって友人関係が疎遠になり、そのうち死亡通知が届き始める。そして同居していた伴侶の死、と次々に人付き合いが消失していきます。残るは、遠くの子や親族より近くの隣人たちです。
■「人付き合い」最後に残るのはご近所さん
そこで、ご近所さんとの人付き合いを習慣化する方法を3つ提案します。
1,地域住民福祉活動に参加する
高齢者を対象とした主な地域住民福祉活動は、食事サービス、見守り、訪問活動、交流の場づくり、車椅子などの移動の補助などがあります。こうした活動を通して親しい仲間をつくるのです。また、被支援者に自分を重ねることで、老いの先取り体験ができます。自宅で暮しつづけるために受けられる支援は、どのようなものがあるかを予習するわけです。いざという時、生活支援サービスの存在を知らないと、目先の安心のため、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームへ転居し、後悔する人は案外多いのです。こうした活動を通して福祉関係者との人脈もできるので、いざ自分が助けて!となったときに、見知った人に相談できるとっかかりが作れて、安心です。町内の自治会活動をするのも良いでしょう。
2,地元の趣味の会に入る
複数の人たちと楽しむ趣味、たとえば、コーラス、歩こう会などに参加すれば、身近なところに、共通の話題を持つ仲間をつくる機会が得られるます。とりわけ自分より若い世代の仲間をつくることが大切だと思います。若い世代との交流は、新しい事象に触れることで刺激を受け、気持ちも若やぎます。同年代以上で固まると、病気や死去により徐々に寂しくなってくるばかりです。
3,近所に居場所をつくる
居場所は馴染みの喫茶店、食堂、居酒屋など。自治体やNPOが主催するコミュニティカフェも。できれば店主の顔が見える小店が良いでしょう。広くはない店に、週1回も通えば、店主や他の常連客と顔馴染になります。世間話から始まって、互いの自宅を行き来する仲に発展することもあるでしょう。
Mさんの80代のお母様は一人暮らし。「右膝を悪くしたため、気軽に外出できないため近所づきあいはありません。自宅で暮しつづけるために大改造しました。バリアフリーを含む間取の大幅変更、高齢者仕様の水回り設備の入れ替えなどです。ある時入浴中に浴槽から出られない、という事態にみまわれました。急きょシニアマンションに転居したのですが、日頃から近所づきあいがあれば、助けを呼べたかもしれません。そうできていたら、ずっと自宅で暮らせていたかもしれません」と述懐するMさん。緊急事態が発生しても、離れて住む子は直ぐに駆けつけることはできません。最後に頼りになるのは、ご近所さんです。
こうした人付き合いは、一朝一夕にできるものではありません。10年、20年と長い時間がかかるものです。最期まで自宅で暮らすには、ゆくゆくは、人の手助けが必要になってきます。そうなることを見越して、できるうちに人助けをしながら、ご近所さんとのつながりを深めていきましょう。高齢期の親しいご近所さんは、かけがえのない財産です。
(2018年1月4日)