遠く離れた空き家の管理、どうする?

たとえ、遠く離れた親の家の空き家といえども、子が相続し持ち主となったそのときから、きちんと保全する義務が生じます。親の家を引き継いだのち、3か月誰も住まなくなったら、夏場であれば雑草が生い茂りたちまちご近所迷惑になってしまいます。
では、せいぜい年に1,2回しか帰省できず、自分では保全作業が思うようにできないとしたら、どうすれば良いのでしょうか?
一番簡単なのは、費用はかかるものの、代行業者に依頼することです。インターネットで「○○市空き家管理」というキーワード検索をしてみると、もよりの代行業者が分かります。空き家対策特別措置法施行後、空き家管理代行業者の数は急速に増えてきています。
また、親の家が属する自治体の空き家対策窓口」に問い合わせてみるのも良いでしょう。

それでは次に、どのような管理を代行してもらうべきか、見ていきましょう。管理内容は親の家をどう利活用するかによっても異なってきます。
利活用方法が決まっていない、なら最低限の管理を
あまり手をかけずに、最低限ご近所の環境悪化を招かないための管理が必要
最低限月1回程度、ご近所へあいさつし、何か問題が生じたときは、ご近所の方々が直接持ち主へ苦情などの連絡が入るようにすることは最低限必要です、たびたび自治体の空き家対策の窓口に通報され るようなことがあれば、いずれ迷惑な「特定空き家」とみなされる可能性が高くなるからです。
■最低限の管理
・管理100円基本サービス 家の外側から主に玄関周辺を目視で問題ないかどうかチェック
              近隣の方からのクレームを電話で一時対応
              巡回報告書作成、メールで送信
              管理会社を明記した看板を設置(初期費用は別途)
■目的に沿った管理オプションサービス
・ポストの清掃(500円/月)
・郵便物の転送(950円/月)
・緊急時の点検(3000円/月)
・不法投棄などのゴミ処理(要見積もり)
・敷地内草刈(要見積もり)
・樹木の剪定 (樹木の本数による。2~10万円/回)

売る、貸す、ならしっかりめの管理を
売る、貸すという利活用方法が決まっているのであれば、買い手、借りてがつきやすいよう、建物の劣化を防ぎ、ある程度美化することを目的とする、しっかり目の管理が必要になります。
■しっかりめの管理
・しっかり管理基本サービス 月1回(空き家4000円、空地2000円)月2回(空き家7500円、空地3800円)
・室内 通気・換気、雨漏り点検、通水、異常がないか、建物目視点検
・室外 庭木確認(剪定の必要の有無確認)、ポスト掃除、庭のゴミ処理、
・その他 近隣挨拶、管理会社を明記した看板設置、クレームの一時対応、巡回報告書
■目的に沿ったしっかり管理オプションサービス
・室内の拭き・掃き掃除(2000円/回)
・除湿剤の設置(150円/個)
・家財・廃棄物の処理(要見積もり)
・害虫・害獣の駆除(要見積もり)
・ガス開栓の代理立会い(2000円/回)

ここで紹介した管理サービスの内容、料金は、NPO法人空家・空地管理センターの取材によるものです。業者によってサービスの内容も料金も異なるのでご注意ください。また、このようなサービスは放火や不法侵入者を完全に防ぐサービスではありません。防犯についてはセコム、アルソックなどの専門業者へ別途依頼が必要です。
こうしてみてくると、自分が住まない親の家を空き家のままにしておくと、管理の負担が重荷になることがお分かりいただけたのではないでしょうか。加えて、家や土地は私有財産ではありますが、一方で大切な社会資源です。資源は活用してはじめて意味のあるものです。
次回以降で利活用の方法についてご説明します。
(2018年1月12日)

 

『最期まで自宅』で暮らす60代からの覚悟と準備
 最期まで自宅で暮らすことを望む人は多数いますが、実際には日本人の1割しか、その望みを果たせていません。
では、どうすればよいのでしょうか?
本書は、まず自宅暮らしができなくなる自立限界点に達するまでの、老化の進行段階を解明しています。そのうえで、自立限界点の手前で踏みとどまるための実践方法を、4つ提案しています。
①何としても自立限界点を超えない覚悟をする
②3つの習慣「家事」「人付き合い」「運動」を実践する
③便利で安全に暮らすために早めに住まいを変える
④地域のつながり、身近な行政を自分の味方につける
自分の老いを直視しながら、自分らしく自立した暮らしを長く続けたい方にとって、役に立つ実用的な内容になっています。
2020年1月20日発行 主婦の友社 定価1500円

(講演予定)

2018年2月18日午後1時30分~2時30分 大分市「どうする?親の家の空き家問題」

2018年2月19日午前10時~11時 竹田市「どうする?親の家の空き家問題」

(最近のメディア掲載実績)

2021年2月12日号 週刊現代「安易に家を売って、」知らない土地に行かないほうがいい」

2020年10月23日号 週刊朝日 「空き家の守り方」

2020年4月2日号 女性セブン 「60才を過ぎたら住み慣れた自宅を売ってはいけない」

2020年2月22・29日号 週刊現代「最後まで自宅を売ってはいけない」

2020年2月14日号 週刊朝日 「コスパで選ぶ『終の棲家』

2019年11月23日 NIKKEIプラス 「暮らし探検隊 空き家の片付け手伝ってみた」

2019年4月5日号  週刊朝日 「高齢者でもはじめられる元を取るリフォーム術」

2019年2月号  ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第3回

2019年1月29日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する下 親が60歳台から家族で片付け」

2019年1月22日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する中 『家事』『人付き合い』『運動』を促す家に」

2019年1月15日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する上 良質なコミュニティで “自由”を謳歌」

2018年12月20日 夕刊フジ 「定年後難民にならない生き方 空き家になった親の家 どうする」

2018年11月号 エクラ 「夫の定年 人生どう変わる? 住まい編」

2018年12月号 ハレヤカ「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第2回

2018年10月号 ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第1回

2017年夏号  マンションスタイル 「資産活用研究所 『これから賃貸を考える人が知っておきたいこととは?』」

2017年11月24日号 週刊朝日「最期まで自宅でひとりを貫くためにするべきこと」

2017年11月10日号 週刊朝日「老化に負けない家事術」

2017年11月号 月刊ビッグ・トゥモロウ「住み続けても人に貸しても資産価値が上がる住居の選び方」

2017年10月27日号 週刊朝日 「外しの京都」

2016年10月14日号 週刊朝日 実家の持ち家は“ヤバイ”

2016年8月13.20合併号週刊ダイヤモンド「実家の大問題」

2016年7月23日・30日・8月6日 朝日新聞 be 知っ得なっ得 空家の相続1・2・3

2016年7月18日号 週刊住宅 2015年度「首都圏優秀マンション表彰」

2016年3月31日 リーフィアな暮らし  マンションライフの魅力を探る

2015年6月27日号 週刊ダイヤモンド 「ライフスタイルに合った住まい選び」

(最近のTV・セミナー・シンポジウム出演)

2017年10月21日 三菱地所レジデンシャル・住まいカレッジ トークセッション「三菱地所のものづくりのこだわりについて」

2017年3月29日、4月15日 3住み推進研究会主催シンポジウム「変わる家族と住まいのかたち」

2017年2月3日 RJC新春トップセミナー 「どうする?親の家の空家対策」

2017年1月10日 NHKクローズアップ現代「モノ屋敷の実家は宝の山 転売で解決 人生のお片付け」