最適な利活用方法は、まず親の家の概要を把握することから
親の家に適した利活用の方法を知るには、そもそも親の家の全体像が具体的に把握できていなければ、親の家に適した利活用の方法を導き出すことはできません。
親の家の全体像は3つのアプローチを通して把握しましょう。
1、権利関係を明らかにする
親の家を相続し、売却などの利活用をするには、まず相続登記をしなければなりません。買い手がついても登記していなければ契約はできません。ところが、相続登記は任意なので、地方では、今でも土地の名義がずっと前に亡くなった祖父のまま、というケースは珍しくありません。
そこで、家の権利関係を祖父の代に遡って明らかにすることが必要です。相続人が何人存在するのか、戸籍を洗い出して確認し、名義書き換えをしなければなりません。この手続きが終了したのちに、家の売却はできるのです。このように権利関係を明らかにしようとすれば、複雑な手続きが必要なこともあるので、早めに確認をしておきましょう。
2、家の概要を整理する
親の家に適した利活用を検討するには、親の家の全体像が分かる概要の整理が必要です。そのために次の資料を集めます。
「土地の測量図、境界確認書」一戸建て・土地の場合に必要です。どこからどこまでが売ったり、貸したりできるのか、面積は何㎡か、といったデータを確認します。
「建築確認証および検査賞、設計図書」建物の概要を知るために必要です。建築確認証および検査証はその建物が建築基準法に則して建てられたことを証明する書類です。違法建築ではない、というお墨付きといえるものです。建築設計図書を見れば、建物の広さ、間取りが分かります。設計図のいは日付が記載されているので築年数も分かるはずです。
リフォームをしていたら、リフォーム箇所についての設計図、工事記録書も探してみましょう。新たに交換した浴室、キッチン、洗面台等の設備カタログがあれあ売る、貸す際の有益な情報になります。
また、所在地、交通など「立地」についての情報が資産価値の決めてとなります。住みたい人が多い立地なら売る、貸すなど選択肢は広がります。
こうした概要を整理すると、住宅市場における親の家の不動産力がわかってきます。
また概要が分かっていれば、不動産会社へ問い合わせると、売りやすい、借りやすい立地なのか?売却価格・家賃はどのくらいか?貸す場合のリフォームの必要性の有無は?などが、おおまかに分かります。最適利活用の方法がある程度具体的に絞り込まれてきます。
ところで、こうした資料が、どこを探しても見当たらない!ということもあるでしょう。でも、何とかなります。手間と費用はかかりますが。土地測量図、境界確認書については、隣の土地所有者の方々と協議し、了解を得て測量図を作成することになります。建築確認証を紛失した場合は、もよりの自治体で証明書を発行してくれます。ただし昭和40~ら50年に建てられた古い家については、証明書の発行ができない場合もあります。建築設計図書がない場合は、室内の寸法を測り、だいたいの広さ、間取りをつかみます。
3、お金関係について整理する
固定資産税や維持管理費以外に、次のような費用がかかっていませんか?
「火災・地震保険」 火災・地震保険に加入していれば、保険料の払い込みが必要です。1例ですが、木造一戸建てで火災保険金額が2000万円の場合、保険料(年間)は1万 5000円。地震保険金額が1000万円の場合、保険料(年間)は1万8000円、計3万3000円かかります
「住宅ローン」 老朽化による建て替え、リフォームのために借りたローンの残債があれば、毎月返済する必要があります。
また、住宅取得時の費用となる土地の購入代金、建物の建築費、建て替え・リフォーム費用についても調べておきましょう。親の家を売ったときの売却益を計算するうえで、必要なデータになります。
・売却益=売り出し価格ー(土地の購入代金+建物の建築費+諸費用)
ここまで作業が進むと、親の家の全体像が具体的に把握でき、適した利活用の選択肢もある程度イメージできてきます。
加えて、親がどのような気持ちでこの家を建てたのか、この家でどんな人生を送ってきたのかが垣間見えてくるのではないでしょうか?
次のコラムでは、親の家の概要をもとに、より具体的な利活用んp絞り込み方について解説します。
(2018年1月15日)