自宅暮らしを続けるには「運動の習慣」で体力維持を
体力水準、健康水準を反映するのは歩行能力。歩行能力を維持すれば病気、寝たきり、認知症などの予防につながり、自宅暮らしが長く続けられる、ということが青柳幸利氏(東京都健康長寿医療センター研究所)の中之条研究により実証されました。この調査は群馬県中之条町に住む、寝たきりになっていない人5000人の1日24時間の生活を15年間追跡調査し、高齢者の体力・健康の要因を分析したものです。この調査により、体力・健康を維持するための歩行能力の目安が、次のように示されました。
■1日8000歩で体力維持
・1日8000歩・速歩20分 高血圧、糖尿病を予防
・1日7000歩・速歩15分 癌、動脈硬化、骨粗鬆症を予防
・1日6000歩・速歩7.5分 認知症、心疾患、脳卒中を予防
・1日5000歩・速歩5~7.5分 寝たきり、うつ病を予防
速歩とは、息が切れて話がしにくい程度の速さで歩くこと。1日8000歩・速歩20分の運動を習慣化することが、病気予防、老化防止に有効だ。風呂掃除、床拭きといったやや負荷のかかる掃除も速歩に匹敵する運動なので、うまく組みあわせるのも手です。自宅暮らしをつづけるには、最低5000歩は死守すべきです。
また、健康日本21(厚生労働省)における身体活動・運動に関する目標も男性の場合、20~64歳9000歩、65歳~7000歩としています。更に今年から、1日の歩数が8000歩を超えると還付金が出る医療保険(東京海上日動あんしん生命保険とNTTドコモ)が売り出されています。世をあげて「8000歩」が健康目標となっているのです。
お気に入りの運動コースを設定して習慣づけを
1日8000歩の運動を習慣づけるには、お気に入りの運動コースをつくることをお勧めします。川沿いのウォーキングコース、公園の遊歩道、並木道等々、気分良く歩けるコースがあるのと、ないのでは歩く気力に大きな差が生じます。また歩く時間も毎日午前6時というように決めると良いでしょう。そうすれば、決まった人に出会うようになり、挨拶をかわすようになります。ついでに通りすがりの公園や広場でのラジオ体操会へ参加すれば、更に顔馴染が増えるでしょう。慣れ親しんだ人、場所ができれば、習慣はとぎれにくいものです。
また、町に好きな居場所をつくるのも、良いでしょう。居心地の良いカフェ、食堂、本屋さんや図書館、碁会所、居酒屋等々。目的地までは速歩で歩けば、良い運動になりますし、常連客との会話が生活に張りをもたらします。
町をうまく住みこなして、運動の習慣を身につけましょう。
(2018年1月3日)