ホテル、旅館から「台所付町家」へ外す
京都らしい暮らしに触れたいなら、ホテルや旅館をはずして、台所付町家で、自炊しながら滞在するという手があります。より深い京都を追求するなら、町家ゲストハウスに滞在してみてはいかがでしょうか。
西陣に近い町家ゲストハウス
京都の町家は年々減少傾向にあります。京町家まちづくり調査によると、28年度は20年・21年度に比べて約11%が滅失し、約14%が空き家となっています。町家を大切な観光資源とする京都市は、ゲストハウスへ転用するための補助を積極的に実施しています。その影響で町家ゲストハウスが増えているのです。
私は1年足らず町家暮らしをしていたときは、地元の人にならって、ボウルを持ってお豆腐屋へ買いに行ったり、店先で出し巻卵が焼けるのを待ったり、肉屋でしぐれ煮用牛肉のレシピを教えてもらったり、とお店の人とちょっとしたやりとりで、京都で暮らしている!という実感がわいてきたものでした。
どこの町家がいいの?という声が聞こえてきそうですね。私が考える京都らしい暮らしの条件は次の4つです。
- 「下町にある」。下町には、気取らない庶民の暮らしが根付いています。代表的なのは
上京区の西陣地区です。2. 「商店街が近い」。商店街は生活文化の発信源。歩くだけで京都の暮らしが垣間見えます。減少しつつも、どっこい、生きているのは今熊野商店街、錦市場商店街(観光客が多い)、三条名店街商店街、京都三条会商店街、古川町商店街、四条繁栄会商店街、出町○形商店街、大将軍商店街、北野商店街、などです。各商店街はホームページを公開しているので詳しくはそちらを。3.「豆腐屋、パン屋、肉屋がある」おばんざいに豆腐類は必須です。また京都人はパン、牛肉好きで、消費量はいずれも日本一だそうです。
4「.銭湯がある」昔は内風呂のない町家が多く、銭湯に通うのが当たり前でした。今でも約140軒ほどの銭湯が営業中で、京都人に混じって、湯船でくつろいでみてはいかがでしょうか。
1~4の条件に合致しそうな町家を参考までに、以下にいくつか挙げてみました。でも、京都はどこをとっても見どころだらけなので、どの町家に滞在しても、きっと興味深い体験ができると思います。
■西陣地区周辺の町家ゲストハウス
・それぞれの宿の定員は2~10名程度
・問い合わせ先はすべて050-2018-1700
・詳しくはネットサイト「京町家の宿」で確認を
町家名 | 特色 | 住所 |
五辻庵 | 「店の間」「中の間」「奥の間」と続く元呉服屋さんの建物 | 上京区五辻町77 |
出水町家 | 玄関は「猿戸」と呼ばれる腰をかがめてでないと通れない小さな扉 | 上京区下立売智恵光院西入ル下丸屋町512番地 |
山中油店ゲストハウス
壱の間 弐の間 参の間 承香殿西対 承香殿東対 弘徽殿南邸 |
平安宮内裏跡に建つ築120年の町家。10軒長屋のうちの6軒をリノベーションしてゲストハウスに転用 | 上京区東神明町297-1 |
しおん庵 | 平安貴族が遊興の地として好んだ紫野にある。紅葉、苔蹲、灯篭、椿を配した本格的な和の庭。レトロな銭湯「船岡温泉」へ徒歩1分 | 北区紫野南舟岡町73番20 |
正庵 | 「京都市景観重要建造物」「歴史的風致形成建造物」指定。アンティーク家具、天井に彫られた鞍馬天狗、透かし彫りの欄間など、さながら町家美術館 | 北区大宮通り鞍馬口下る筋違橋町576 |
六壺 | 縁側から庭を臨むと昔ながらの白い蔵が。
地元民が通う銭湯「紫野温泉」は出てすぐ。昔ながらの商店街「新大宮商店街」も徒歩数分 |
北区紫野上門前町41 |
「ホテル・旅館から台所付町家」に加えて、「広く浅くから狭く深く」「昼から朝」「観光から軽い運動」へ、パースペクティブ、時間、旅の目的、宿泊先をはずすことで、あなただけの一生ものの京都が見つかることを願っております。
(2017年11月26日)