ホームレスにとってもハワイはパラダイス

南の島のパラダイス・ハワイに多いのは、旅行者だけではありません。ホームレスも!

トイレやシャワーの設置された公園であれば、確実に遭遇します。ワイキキの中心やアラワイ運河沿いにも。スーパーの大型カートや自転車に荷物を積み、居場所を変えながら暮らす人。ダンボールやビニール製のテントを張って、市当局から立ち退きを勧告されるまでは一時定住している人など、ホームレス・スタイルは様々です。

日頃、暮らしと住まいについてコンサルタントをしている私としては、住まいを持たない暮らしには、ひとかたならぬ興味があり、ホームレス事情を少し調べてみました。

 

ホームレス増加で非常事態宣言が

2016年1月現在のハワイのホームレス数は7921人。人口は136万人ですから、1万人につき、58.3人がホームレスです。これは全米で最高水準。

かたや日本のホームレスは6235人。人口は約1億2711万人ですから、1万人につき0.49人がホームレスです。日本とくらべると格段に多いことが分かります。

ハワイではホームレスが年々増加しており、2015年にはついに非常事態が宣言され、ホームレス削減対策が実施されるようになりました。

主な対策は、130万ドル(約1億5000万円)以上の予算をつけて、居住先がない単身者や家族を収容する施設を建設する、ということです。とりわけ近年は、家族のホームレスが増加傾向にあるため、家族用の住宅建設に注力するとのことです。それ以外には、職業訓練、精神疾患やアルコール・薬物中毒患者のケアなどの支援策も盛りこまれています。残念ながら、こうした対策をこうじた後も、ホームレスは増加の一途をたどっているのです。

 

ホームレス増加の原因は「家賃高」「気候の良さ」

では何故、ホームレスは増えるのでしょうか。第一の原因は、高物価、低賃金にあります。

ハワイの物価は米国本土より3割高いとされています。野菜をはじめとした食料品、生活用品など全てのものが、本土から船などで輸送されているため、輸送コストが上乗せされるからです。また、全米の州を対象に行われた調査(Out of Reach2017)によると、ハワイは全米一家賃が高いのに対して、最低賃金が低い州であることが分かりました。

ハワイで2LDKの部屋を借りるには、時給35ドルを稼がなければなりませんが、最低賃金は時給9.25ドルなので全米1困難な状況です。ハワイの最低賃金の労働者が2LDKを借りようとすれば、週152時間働かなければ、家賃を支払えないのです。現実的には仕事を2,3かけもちしても、支払は不可能かと思われます。

ハワイは有名なリゾート地なので、ホノルルを中心に海外の富裕層が積極的に不動産に投資します。需要が多ければ、家賃も住宅売買価格も上昇します。したがって、古いコンドミニアムの1ルームの家賃が10万円以上するのです。ホノルル市内では100万ドル(1億2000万円)以下では一戸建ては買えない、ともいわれています。

半面、仕事は観光業などのサービス業が多いため、賃金は高くありません。

一般的な男性の年収は300万円~400万円。したがって、多くの労働者は収入の半分が家賃に持っていかれます。米国はどの州も、最低賃金で働く人の家賃は収入の3割ですから、とりわけハワイの家賃が高水準だということが分かります。万一リストラされるようなことがあれば、家賃を払えなくなり、立ち退きを要求されてしまうのです。住む家がなければ、ホームレスです。

ハワイにホームれるが多いもうひとつの原因は、温暖な気候です。夏は湿気の多い山中を除けば、蚊もいませんので、野外生活は結構快適?です。冬でも最低気温は18度程度ですから、屋外で寝ていても凍死といった命に係わる危険は、まずありません。米国の他の自治体のなかには気候が良いという理由で、ホームレスや生活保護者の削減を目的に、一時金とともに片道の航空チケットを支給して、ハワイへ送り込むところもあるそうです。

こうした背景を知るにつれ、ハワイでいったんホームレスになってしまうと、職業訓練などを受けたのち、いったんは社会復帰するものの、家賃高の壁にはばまれ、再びホームレスに逆戻りしてしまうケースも多いような気がします。

過ごしやすい気候なので、ホームレスに与えられるフードスタンプ(低所得者向けの食料品を買うための金券)やボランティアの炊き出し、ワイキキの飲食店からでる廃棄物などを糧に野外生活を送るうちに、まあ、こんな生活も悪くない、とズルズル続けられるだけ、続けるという人が自ずと増えていくのではないでしょうか。朝日を浴びながら瞑想している人、公園のシャワーで毎朝、身体を洗っている人、犬をペットして飼っている人、鍋を携帯して煮炊きをしている人、ラジカセのロックミュージックに合わせて歌って踊る人等々それぞれ自分らしいホームレス・ライフスタイルが確立されているのも、興味深いものがあります。

ハワイは旅行者だけではなく、ホームレスにとっても等しくパラダイスなのでした。

(2017年12月19日)

『最期まで自宅』で暮らす60代からの覚悟と準備
 最期まで自宅で暮らすことを望む人は多数いますが、実際には日本人の1割しか、その望みを果たせていません。
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自分の老いを直視しながら、自分らしく自立した暮らしを長く続けたい方にとって、役に立つ実用的な内容になっています。
2020年1月20日発行 主婦の友社 定価1500円

(講演予定)

2018年2月18日午後1時30分~2時30分 大分市「どうする?親の家の空き家問題」

2018年2月19日午前10時~11時 竹田市「どうする?親の家の空き家問題」

(最近のメディア掲載実績)

2021年2月12日号 週刊現代「安易に家を売って、」知らない土地に行かないほうがいい」

2020年10月23日号 週刊朝日 「空き家の守り方」

2020年4月2日号 女性セブン 「60才を過ぎたら住み慣れた自宅を売ってはいけない」

2020年2月22・29日号 週刊現代「最後まで自宅を売ってはいけない」

2020年2月14日号 週刊朝日 「コスパで選ぶ『終の棲家』

2019年11月23日 NIKKEIプラス 「暮らし探検隊 空き家の片付け手伝ってみた」

2019年4月5日号  週刊朝日 「高齢者でもはじめられる元を取るリフォーム術」

2019年2月号  ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第3回

2019年1月29日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する下 親が60歳台から家族で片付け」

2019年1月22日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する中 『家事』『人付き合い』『運動』を促す家に」

2019年1月15日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する上 良質なコミュニティで “自由”を謳歌」

2018年12月20日 夕刊フジ 「定年後難民にならない生き方 空き家になった親の家 どうする」

2018年11月号 エクラ 「夫の定年 人生どう変わる? 住まい編」

2018年12月号 ハレヤカ「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第2回

2018年10月号 ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第1回

2017年夏号  マンションスタイル 「資産活用研究所 『これから賃貸を考える人が知っておきたいこととは?』」

2017年11月24日号 週刊朝日「最期まで自宅でひとりを貫くためにするべきこと」

2017年11月10日号 週刊朝日「老化に負けない家事術」

2017年11月号 月刊ビッグ・トゥモロウ「住み続けても人に貸しても資産価値が上がる住居の選び方」

2017年10月27日号 週刊朝日 「外しの京都」

2016年10月14日号 週刊朝日 実家の持ち家は“ヤバイ”

2016年8月13.20合併号週刊ダイヤモンド「実家の大問題」

2016年7月23日・30日・8月6日 朝日新聞 be 知っ得なっ得 空家の相続1・2・3

2016年7月18日号 週刊住宅 2015年度「首都圏優秀マンション表彰」

2016年3月31日 リーフィアな暮らし  マンションライフの魅力を探る

2015年6月27日号 週刊ダイヤモンド 「ライフスタイルに合った住まい選び」

(最近のTV・セミナー・シンポジウム出演)

2017年10月21日 三菱地所レジデンシャル・住まいカレッジ トークセッション「三菱地所のものづくりのこだわりについて」

2017年3月29日、4月15日 3住み推進研究会主催シンポジウム「変わる家族と住まいのかたち」

2017年2月3日 RJC新春トップセミナー 「どうする?親の家の空家対策」

2017年1月10日 NHKクローズアップ現代「モノ屋敷の実家は宝の山 転売で解決 人生のお片付け」