観光スポットから「ストりート」へ外す

最初に清水寺、次に金閣寺、嵐山で時間切れ!という観光スポットを1日がかりで駆けずり回ることから、「通り」を端から端までつぶさに歩いてみるのも、京都を狭く深くはずすバリエーションのひとつです。通りという線でとらえたほうが、京都を体系立てて捉えることができます。

京都の通りは碁盤の目状に南北・東西を走っています。分かりやすいので、面白さに誘われて脇道に入ったとしても、迷うことはありません。

そのうちの1本、私が歩く機会の多い、二条通りを例にあげてみましょう。

cotohaの熱帯雨林

二条通りは二条城から東へまっすぐ、白川通までつづく約3.5㎞の通りです。平安京の大二条大路にあたり、往時は幅50メートルもある大きな通りだったとか。江戸時代には江戸幕府公認の薬種街で、いまも薬屋さんが数軒残っています。古いだけではありません。歩きはじめて、ちょっと離れた横町(西ノ京職司町)に入ると、鑑賞用の熱帯雨林(水槽でつくるバルダリウム)を売る観葉植物店(cotoha)があります。熱帯雨林はオーストラリアが発祥の地で、あちらと京都では気候の差が激しく、温度や湿度の調整がことのほか難しい、と一生懸命説明してくれた店長の人柄が好ましく、現在住んでいるマンションのバルコニーに置く植栽のデザインをアドバイスしてもらうことになったこともありました。また銭湯を改装して有名になったカフェ(サラサ西陣)の姉妹店(CLAMP COFEE SARASA)など、若い店主が頑張っている斬新な小店もアチコチに。こうした小店は、まさに1200年の歴史と伝統を礎にして未来への創造力に昇華させた新しい名店といえましょう。京都ではどこにも点々と散在していて、これを見つけるのが、大きな楽しみです。

寺町通り

さて二条城をスタートして東へ15分も歩くと寺町通りにぶつかります。東西の二条通りと南北の寺町通りが交差するこの一帯は、京都でも屈指のおしゃれストリート。しかも銀杏並木と舗道の閑静で落ち着いた雰囲気は、私の大好きな秘蔵の場所です。有名なお茶(一保堂)、お菓子(村上開新堂)の老舗目当てに内外からの旅行者が訪れますが、ミシン屋(石田ミシン店)ボタン屋(エクラン)、洋装材料屋(ヨシミ)、手芸用品屋(ハンズよしみ)、古布屋(アドーン、ギャラリー啓)といったレトロなお店が軒を連ねているのは、知る人ぞ知る、です。私は、京都暮らしをするようになって着物を着はじめたので、ボタン屋さんでアンティークボタンを帯留めに作り替えたり、古布屋さんで買った布を帯に仕立てたり、と京都ならではのコトを楽しんでいます。

さらに、進んで改修済んだ二条大橋で鴨川を渡ると、これまた知る人ぞ知るお寺が立ち並ぶ通りとなります。有名じゃないからと、侮ってはいけません。頂妙寺(運慶・快慶作の仁王尊俵屋宗達の絵)、本妙寺(赤穂浪士の寺)、信行寺(伊藤若冲の天井画)など、古いお寺にはそれなりの曰く因縁や国宝級の仏像や絵が所蔵されていることが多いのです。思わぬところで、思わぬものに巡り合うのが通り歩きの楽しさです。

平安神宮の鳥居

更に東に広がる岡崎の国立近代美術館4階から眺める平安神宮の巨大な赤い鳥居は、アートなオブジェとして一見の価値ありです。その他明治以降に建てられた京都市立美術館や琵琶湖疏水、動物園など、定番見どころもつきません。詳しくはガイドブックに譲りましょう。南禅寺にほど近いところで道は途切れます。

このように京都の通りは、平安時代からつづく歴史と未来への創造力の2つの世界を感じながらの散歩が楽しめます。つい立ち止まりたくなった、寺社、老舗、新しい小店があまり知られていないところであればあるほど、マイ・ストリート感は増してきます。

とりわけ、上京区、中京区、下京区を縦横に走る通りはどこを歩いても(全部制覇しているわけではありませんが)、それぞれにあなただけの新しい発見に満ちているはずです。そして断片的にしか捉えられていなかった、京都がつながって見えてくるはずです。

(2017年11月21日)

 

『最期まで自宅』で暮らす60代からの覚悟と準備
 最期まで自宅で暮らすことを望む人は多数いますが、実際には日本人の1割しか、その望みを果たせていません。
では、どうすればよいのでしょうか?
本書は、まず自宅暮らしができなくなる自立限界点に達するまでの、老化の進行段階を解明しています。そのうえで、自立限界点の手前で踏みとどまるための実践方法を、4つ提案しています。
①何としても自立限界点を超えない覚悟をする
②3つの習慣「家事」「人付き合い」「運動」を実践する
③便利で安全に暮らすために早めに住まいを変える
④地域のつながり、身近な行政を自分の味方につける
自分の老いを直視しながら、自分らしく自立した暮らしを長く続けたい方にとって、役に立つ実用的な内容になっています。
2020年1月20日発行 主婦の友社 定価1500円

(講演予定)

2018年2月18日午後1時30分~2時30分 大分市「どうする?親の家の空き家問題」

2018年2月19日午前10時~11時 竹田市「どうする?親の家の空き家問題」

(最近のメディア掲載実績)

2021年2月12日号 週刊現代「安易に家を売って、」知らない土地に行かないほうがいい」

2020年10月23日号 週刊朝日 「空き家の守り方」

2020年4月2日号 女性セブン 「60才を過ぎたら住み慣れた自宅を売ってはいけない」

2020年2月22・29日号 週刊現代「最後まで自宅を売ってはいけない」

2020年2月14日号 週刊朝日 「コスパで選ぶ『終の棲家』

2019年11月23日 NIKKEIプラス 「暮らし探検隊 空き家の片付け手伝ってみた」

2019年4月5日号  週刊朝日 「高齢者でもはじめられる元を取るリフォーム術」

2019年2月号  ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第3回

2019年1月29日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する下 親が60歳台から家族で片付け」

2019年1月22日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する中 『家事』『人付き合い』『運動』を促す家に」

2019年1月15日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する上 良質なコミュニティで “自由”を謳歌」

2018年12月20日 夕刊フジ 「定年後難民にならない生き方 空き家になった親の家 どうする」

2018年11月号 エクラ 「夫の定年 人生どう変わる? 住まい編」

2018年12月号 ハレヤカ「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第2回

2018年10月号 ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第1回

2017年夏号  マンションスタイル 「資産活用研究所 『これから賃貸を考える人が知っておきたいこととは?』」

2017年11月24日号 週刊朝日「最期まで自宅でひとりを貫くためにするべきこと」

2017年11月10日号 週刊朝日「老化に負けない家事術」

2017年11月号 月刊ビッグ・トゥモロウ「住み続けても人に貸しても資産価値が上がる住居の選び方」

2017年10月27日号 週刊朝日 「外しの京都」

2016年10月14日号 週刊朝日 実家の持ち家は“ヤバイ”

2016年8月13.20合併号週刊ダイヤモンド「実家の大問題」

2016年7月23日・30日・8月6日 朝日新聞 be 知っ得なっ得 空家の相続1・2・3

2016年7月18日号 週刊住宅 2015年度「首都圏優秀マンション表彰」

2016年3月31日 リーフィアな暮らし  マンションライフの魅力を探る

2015年6月27日号 週刊ダイヤモンド 「ライフスタイルに合った住まい選び」

(最近のTV・セミナー・シンポジウム出演)

2017年10月21日 三菱地所レジデンシャル・住まいカレッジ トークセッション「三菱地所のものづくりのこだわりについて」

2017年3月29日、4月15日 3住み推進研究会主催シンポジウム「変わる家族と住まいのかたち」

2017年2月3日 RJC新春トップセミナー 「どうする?親の家の空家対策」

2017年1月10日 NHKクローズアップ現代「モノ屋敷の実家は宝の山 転売で解決 人生のお片付け」