自宅を担保に老後の生活資金を調達する「リバースモゲージ」とは 

 

 

人生100年という長い老後の生活を乗り切るには、年金だけでは足りない。

だからといって、貯金は万一の病気や介護に備えておきたいので、取り崩すのは不安。

唯一の資産である自宅を売却して賃貸に移ったとしても、今度は毎月の家賃が負担に。

どうしよう!という方々に向けたローン「リバースモゲージ」があります。

リバースモゲージの仕組み

リバースモゲージは一言で説明すると、自宅に死ぬまで住み続けながら、自宅の価値に見合った価格で現金化(借入)し、死亡後に自宅を売却して借

入金を返済するというもの。現金化することで生活資金に余裕ができるというわけです。

消費者ローンのような借金ではなく、持ち家の現金化と考えると分かりやすいと思います。

民間銀行のものと、公的機関である住宅金融支援機構のリバース60があります。

借りたお金の使途が自由(事業・投資目的はだめ)なのは民間銀行で、リバース60は主に住宅の購入、建設、リフォームなど住宅資金に限られます。

そこで、ここでは自由に生活資金にあてられる、民間銀行のリバースモゲージについて見ていきたいと思います。

このローンの返済の仕組みは、毎月利息だけを払い(利息を払わないことも可能)、元本の返済は本人が死亡したのちに、相続人が自宅を売却して返済するというものです。

と、ここまでの説明は、いかにも、老後の生活を支援する救世主のように思え、つい膝を乗り出したくなりますが、一方で素朴な疑問も生じます。

そこで、リバースモゲージの取り扱い実績NO.1の銀行へ問い合わせてみました。

自分の自宅は貸出条件に合うの?

対象となる住宅の所在地は首都圏、関西圏、その他大都市です。

ということは、人口が減少していて、空き家が目立ち、中古住宅が売れにくい、この先地価も下がりそう、といった地域は対象外となります。

また、建物が古くなっても土地の資産価値が残る一戸建てとは異なり、マンションは築15年未満でないと対象になりません。

子育て期にマンションを購入しそのまま住み続けていれば、自宅は築30年超という方々も多いと思われます。ガックリ。

一戸建ては古くなって建物の価値がなくなっても、土地が残るので築年数を問わず対象になるようです。ただし、多くの場合は郊外に立地するものが多いので担保評価はそう高くはないため、借りられるお金も高額とは言い難いことが予想されます。これまたガックリ。

自分が死亡したのちに相続人が完済するってどういうこと?

借りたお金の完済は死亡後に、相続人、多くの場合は我が子に、自宅を売却して、返済してもらうことになります。

ただし、売却益だけでは完済できない場合は、他の資産で補填しなければなりません。

ということは、リバースモゲージを利用するなら事前に、子に親の家を相続することはできない、というこを納得してもらわなければなりません。

また、親に家以外の資産がなければ、子供がその分を負担しなければなりません。

それを承知で同意してくれる子が、昨今どれだけいるでしょうか。

リバースモゲージに難色を示す子は少なくないと思われます。またまたガックリ。

ここまでの時点で、リバースモゲージを利用するには、高い壁を越えなければならないことが分かります。

あなたは、高い壁を越えられるか?

都心部の好立地に一戸建てもしくは高価格で買った築浅のマンションの自宅がある。

それ以外に、リバースモゲージの完済手続き後に、子が相続できる財産がちゃんと残せるほどの預貯金・株などの資産を保有している。

そんな方であれば、容易に壁は乗り越えられると思います。が、そうした方にリバースモゲージは必要でしょうか?

とはいえ、ここであきらめては、安全・安心な老後の生活の選択肢をみすみす失うことになってしまいます。

だめもとで、銀行へ相談することをお勧めします。

最近の銀行は、わざわざ窓口に行かなくても、電話やメールで気軽に相談できるようになっています。

もちろん私も相談しました。自宅は築22年、しかも定期借地権なので、結果は対象外でしたが。

注)貸出条件は銀行により異なります。ご確認を。

 

2021年1月9日

 

 

 

 

『最期まで自宅』で暮らす60代からの覚悟と準備
 最期まで自宅で暮らすことを望む人は多数いますが、実際には日本人の1割しか、その望みを果たせていません。
では、どうすればよいのでしょうか?
本書は、まず自宅暮らしができなくなる自立限界点に達するまでの、老化の進行段階を解明しています。そのうえで、自立限界点の手前で踏みとどまるための実践方法を、4つ提案しています。
①何としても自立限界点を超えない覚悟をする
②3つの習慣「家事」「人付き合い」「運動」を実践する
③便利で安全に暮らすために早めに住まいを変える
④地域のつながり、身近な行政を自分の味方につける
自分の老いを直視しながら、自分らしく自立した暮らしを長く続けたい方にとって、役に立つ実用的な内容になっています。
2020年1月20日発行 主婦の友社 定価1500円

(講演予定)

2018年2月18日午後1時30分~2時30分 大分市「どうする?親の家の空き家問題」

2018年2月19日午前10時~11時 竹田市「どうする?親の家の空き家問題」

(最近のメディア掲載実績)

2021年2月12日号 週刊現代「安易に家を売って、」知らない土地に行かないほうがいい」

2020年10月23日号 週刊朝日 「空き家の守り方」

2020年4月2日号 女性セブン 「60才を過ぎたら住み慣れた自宅を売ってはいけない」

2020年2月22・29日号 週刊現代「最後まで自宅を売ってはいけない」

2020年2月14日号 週刊朝日 「コスパで選ぶ『終の棲家』

2019年11月23日 NIKKEIプラス 「暮らし探検隊 空き家の片付け手伝ってみた」

2019年4月5日号  週刊朝日 「高齢者でもはじめられる元を取るリフォーム術」

2019年2月号  ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第3回

2019年1月29日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する下 親が60歳台から家族で片付け」

2019年1月22日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する中 『家事』『人付き合い』『運動』を促す家に」

2019年1月15日号 住宅新報 「ひとり暮らしを創造する上 良質なコミュニティで “自由”を謳歌」

2018年12月20日 夕刊フジ 「定年後難民にならない生き方 空き家になった親の家 どうする」

2018年11月号 エクラ 「夫の定年 人生どう変わる? 住まい編」

2018年12月号 ハレヤカ「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第2回

2018年10月号 ハレヤカ 「最後まで自宅でひとり」を貫くための住まいと暮らし

第1回

2017年夏号  マンションスタイル 「資産活用研究所 『これから賃貸を考える人が知っておきたいこととは?』」

2017年11月24日号 週刊朝日「最期まで自宅でひとりを貫くためにするべきこと」

2017年11月10日号 週刊朝日「老化に負けない家事術」

2017年11月号 月刊ビッグ・トゥモロウ「住み続けても人に貸しても資産価値が上がる住居の選び方」

2017年10月27日号 週刊朝日 「外しの京都」

2016年10月14日号 週刊朝日 実家の持ち家は“ヤバイ”

2016年8月13.20合併号週刊ダイヤモンド「実家の大問題」

2016年7月23日・30日・8月6日 朝日新聞 be 知っ得なっ得 空家の相続1・2・3

2016年7月18日号 週刊住宅 2015年度「首都圏優秀マンション表彰」

2016年3月31日 リーフィアな暮らし  マンションライフの魅力を探る

2015年6月27日号 週刊ダイヤモンド 「ライフスタイルに合った住まい選び」

(最近のTV・セミナー・シンポジウム出演)

2017年10月21日 三菱地所レジデンシャル・住まいカレッジ トークセッション「三菱地所のものづくりのこだわりについて」

2017年3月29日、4月15日 3住み推進研究会主催シンポジウム「変わる家族と住まいのかたち」

2017年2月3日 RJC新春トップセミナー 「どうする?親の家の空家対策」

2017年1月10日 NHKクローズアップ現代「モノ屋敷の実家は宝の山 転売で解決 人生のお片付け」